神戸市は25日、2030年に市内で登録する燃料電池車(FCV)を1万台にする普及目標を策定したと発表した。政府が30年には新車販売台数の3%を燃料電池車にする目標を掲げているのに加え、今後実施する導入推進策の効果を勘案して設定したという。燃料である水素を供給する「水素ステーション」は同様に30年までに7基を市内または隣接市への設置を目指す。

 神戸市は自治体としては初めて公用車にトヨタが昨年12月に発売したFCV「ミライ」を導入するなど普及に前向きだ。環境に配慮した街づくりを理念として掲げているためだ。一方では、ミライの部品に神戸製鋼所のチタン材が採用されたほか、川崎重工業は産業用として世界初の水素液化プラントを播磨工場(兵庫県加古郡播磨町)を稼働させた。FCVの普及が地元振興につながるとの思惑もあるようだ。

 このため、今回の目標設定には疑問の声があがる可能性が残る。一般論としては特定の企業や技術に自治体が肩入れすることが、従来の技術や、別の新技術を持つ企業の活動を抑圧することなどにつながりかねない。いまのところFCVは環境対応車(エコカー)の中で本命視されているが、向こう15年の間に自動車の原動力が別の展開を見せる可能性もありうる。神戸市は行政機関として目標達成のための施策に乗り出すとみられるが、効率的、合理的な運用が欠かせない。